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Olafur Eliasson「SONNE STATT REGEN 」
¥11,000
日本でも各地の美術館でインスタレーションを行うアイスランドとデンマーク出身のアーティスト、オラファー・エリアソンの作品集です。 本書は、2003年、ドイツ・レンバッハハウス美術館で開催された展覧会に伴い刊行された写真集であり、エリアソンが故郷・アイスランドの美しく静かな風景を撮影したもの。書籍という印刷物でありながら、断片的な風景のコラージュ、さまざまな大きさに切り取られた写真による構成は、空間的な広がりや空気の流れまでを感じさせ、人工的な空間を使用しながらも自然そのものを表現する彼のインスタレーション作品と通じます。 ■詳細 古書、ハードカバー、大型書籍(サイズ:22.5✕36.5センチ)、図版80点 出版年:2003年 経年によるスレ、ヤケ、シミなどがありますが、大きな傷みはありません
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『苔とあるく』田中美穂,WAVE出版(古本)
¥1,200
岡山県・倉敷市にある有名な古書店「蟲文庫」を運営する田中美穂さんの初著作。「蟲文庫」は雑誌で紹介されているのを読んで、いずれ行きたいと思っていたお店。その店主の人が本を出したというので手にとってみた、という出会いでした。その後お店も訪ねましたが、倉敷の美観地区にありながら、立ち並ぶ他のお店とは雰囲気を異にする、味のある古本屋さんでした。 お気に入りの古書店の紹介も、いずれこのサイトでやってみたいですね。 さて、『苔とあるく』のご紹介。植物の本なので図鑑や育て方ももちろん紹介されていますが、それよりも――たぶんそれこそが苔の魅力だと思うのですが――観察・採集の仕方、標本の作り方などが本書のメイン。学術書というより実用書といった趣で、その楽しさが、「ほったらかしだと、ただのゴミ」、「コケも風に揺れる」など、標語のような言葉とともに語られています。著者はまるで友人か飼っている猫に接するように親しげに苔について語り、苔を見つめ、育てる。その身近な視線がこの本をとても魅力的にしています。 本書に出会うまで、肉眼では姿がわかりづらい苔は私にとって、他の植物に比べると鑑賞の対象になりづらい存在でした。でも、この本に導かれるまま10倍のルーペをゲットして観察してみると、それぞれに全く違った姿をし、色も違い、小さな林や森のようにも見えてきます。また、その小さな植物があらゆる地表を、壁面を覆っていると思うとなんだかけなげでもあります。 一番驚いたのは、苔について書かれた文学作品があるということ。そんなジャンルがあったのか!とびっくりしつつ、その文章の美しいことにも驚かされます。その一部を抜粋してご紹介します。(土澤あゆみ) ※ちなみに写真の苔は、家の庭に生えていたものです。種類は…不明。 ●苔について/永瀬清子 まだここには 水と土と霧しかなかった何億年の昔 見渡してもまだ泳ぐものも這う者も 見当たらなかったおどろの時 濠濠の水蒸気がすこし晴れたばかりのしののめ おまえは陽と湿り気の中からかすかに生まれたのです なぜと云って 地球がみどりの着物をとても着たがっていたから いまでも私たちの傍にどこでも見られる苔よ お前は電柱の根っこにもコンクリの塀にも いつのまにか青をそっと刷いているのね まして街路樹の下の小さな敷物 敷石のあいだの細いリボン わかるよ 地球の望み 地球のほしがるもの 冬になっても枯れもせず 年中お前はしずかに緑でいる 人間はいつもそれをせっせとはがして 道路やビルを造っているのに でも苔は無言でつつましく 自分のテリトリーを守ろうとする 極致の建築をお前はつくる 描けば一刷毛か、点描でしかないのに それでもお前大きな千年杉のモデルなのよ そして繊毛のようなその茎の中に 秘密の静冽な水路があって 雄の胞子はいそぎ泳ぎ昇って 雌の胞子に出会うのです 大ざっぱすぎる人間には そのかすかな歓びがすこしも聴こえないけれども
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『家守綺譚』梨木香歩,新潮社 (古本)
¥400
『西の魔女が死んだ』『沼地のある森を抜けて』などで知られる著者の連作短編集。 舞台は100年前の日本。駆け出し作家の綿貫征四郎が、庭木の百日紅(さるすべり)の木に思いを寄せられたり、里山で出会う狸や狐に化かされたりと、昔ばなしのような掌編が綴られる1冊。 征四郎がそうした出来事に驚いたり訝ったりする一方、隣のおかみさんや周囲の人は当たり前のこととして話すので、読んでいるこちらもなんとなくそういうことかと思える不思議な説得力があります。 まだ日本人が自然とともにあった、生と死、現実と幻想が混ざり合っていた時代に生きるものたち(人と人にあらざるもの、この世のものではないもの)がすべて横並びで、とてもイキイキと、時にはコミカルに描かれます。困っている相手に手を差し伸べる優しさと、生きるために相手をだますたくましさを持ち合わせ、ひたむきに与えられた世界を生きる彼らのなんとたくましいこと。物語であることを忘れ、日本人である自分のベースに彼らのそうした気質が少しでも残っていれば…と思ってしまいました。 続編である『冬虫夏草』は、本作の静謐さとは対象をなす、行方知れずになってしまったゴローを探しに旅に出る征四郎の冒険譚。タイトルは、虫に寄生し、その名の通り冬には虫の姿で、夏にはきのこの姿となる生態を持つ寄生きのこの名前。そんな、『沼地のある森を抜けて』とも通じる、与えられた場所、運命を生きる命の物語といえます。(土澤あゆみ) ■詳細 古書、文庫 七刷 経年によるスレ、折れなどがありますが、大きな傷みはありません
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『富士日記』上中下巻セット(中古) 武田百合子,中公文庫
¥3,000
かなりうろ覚えですが、昔、村上春樹が何かのエッセイで、スコット・フィッツジェラルドの小説について、どこから読んでも楽しい、気が向いた時にページをパラパラめくって偶然開いたところの一文を読んでみたりする、というようなことを書いていた。私にとっての「富士日記」もまさにそういう本で、ふと読みたくなった時に上中下巻のうちのどれか1冊を取り、一部分を読んだりしている。 例えば、中巻。昭和四十二年七月二十一日の日記から引用してみる。 目が覚める。庭のバラスを踏んで主人が散歩に出ていく足音がする。この間までは、ついてゆく犬のハアハアいう息の音が、それにまつわって聞こえていた。私はもう一度ふとんをかぶって泣いて、それから起きる。 朝 ごはん、佃煮、コンビーフ、大根味噌汁、のり。 昼 パン、ビーフスープ、紅茶、トマト。 去年の古い新聞や紙片焼く。 あざみの花粉が粉っぽくなってきた。金茶色の蝶のほかに、紫色に光る黒い大あげ羽がきて、いつまでもいつまでも羽をふるわせてとまっている。… このエッセイが書かれたのは、昭和39年から51年にかけて。武田泰淳という第一次戦後派の文豪の妻で、主婦で、一児の母だった百合子さんという個人の目を通して綴られる、富士山の麓に建てた山荘での日々。 百合子さんは、野の花や昆虫の名前をよく知っていて、ほぼ毎日、目にする動植物のことを書いている。その観察は、人間の目で見たというよりも、蝶が蜜を吸いに来た花を見るようにとても仔細でリアルだ。この数日前に死んでしまった飼い犬、ポコのことも、吐く息の音を思い出す形で表現されている。その書き方はまるで、その植物、動物の生命の営みをそっくり書き写そうとしているかのようで、とても生々しい。その力強さに強く惹かれる。 そういえば、このサイトで紹介している『APIED』の特集は『富士日記』です。合わせて読めば、よりその世界を感じられるはず。(土澤) ■詳細 文庫『富士日記』上・中・下 3巻セット 中公文庫 古書 上巻は表紙カバーに細かな傷が若干ありますが、他は特に目立った傷みはありません。中・下巻はきれいです。
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【iPhone6/6s】coenoe 手帳型スマホケース
¥3,000
coenoe 手帳型スマホケース【iPhone6/6s】です。 コエノエの世界観を、我々と同じく本好きの幸田 真輝子さんに描いていただきました。 森の中に、小川が流れていたり、花が咲いていたり、本が隠れていたり、小鳥がいたり。よぉく見てから、目を閉じ、耳を澄ますと、そこから声や音が聞こえてくるような、そんな世界です。 本や植物、音楽が好きな方には気に入っていただけるんじゃないかなぁと思います。 ▼素材 手帳部分:ポリウレタン樹脂(PU)/白 スマホ本体はめ込み部分:ポリカーボネート樹脂(プラスティック)/白 留め具部分:マグネット磁石 ▼印刷出力/印刷方式/プリント方式 CMYK出力/UVインクジェット印刷/インクジェットプリンタ
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OZmagazine Petit (オズマガジン プチ) アウトドア特集 2015年6月号 (2015年05月12日発売) 【中古】
¥880
休みの日に何しよう?の選択肢を提案してくれるのが、オズマガジン。基本的には働く女子向けの雑誌だと思うが、私も土日や2日、3日くらいの休みの過ごし方をあれこれするのに、かなり活用させてもらっている。 最近は、ポケットサイズ版も出て、持ち歩きやすくなり、さらに気にいるきっかけになった。 本号は、ガチすぎない山登り、電車とバスとロープウェーでいける山小屋、バス停から徒歩90分のヒュッテ、勝浦など、日帰りあるいは1泊2日で楽しめる時間の過ごし方が提案されている。 スマホではサイズが限られて、どうもピンとこないし、パソコンのブラウザで調べても、なかなかそこに行こうという気にならない。 ここはやはりオズマガジンの編集に感化されてしまっていいのではないか。モデルの視線、服、背景、、つくられた絵から、得られる情報は多い。わーっと憧れて、行く気になりさえすれば、重い腰がようやく持ち上がる。 行き先さえ決まれば、あとは体が楽しみ方を知っている。何も起こらなくてもいいし、ご飯がいまいちでも、宿の壁紙がピンクのバラ柄だったとしても、旅になる。 2016.04.17 星野陽介 --- この号で紹介されていた、長野の鷲ヶ峰ヒュッテに実際に行ってきました。ヒュッテといっても、山小屋というより、ちょっとしたペンションという印象で、ご主人のこだわりがちりばめられていた。お食事、空間、ご主人とお客の距離感が、素朴かつ丁寧で、私の好みでした。 2016.08.06 ほしの
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Coyote コヨーテ No.53 星野道夫のアラスカの暮らし【中古】
¥4,500
私と苗字が一緒なので、かどうかわかりませんが、書店に勤めていた頃からなんとなく意識し、また動きの鈍い写真集コーナーの中で、定期的に動く定番が星野道夫さんでした。 没後20年を迎えたということで、全国を巡回する写真展が開催されたり、ほぼ日のTOBICHIでは35mmフィルムが100枚見れるという面白い企画が展開されているようです。そのほぼ日さんで、「なんでもない日の、星野道夫」と題して、編集者の松家さんと奥様の直子さんの対談がよかったです。奥さんが写真の整理をしていると、結婚後に奥さんが好きな花の写真が増えていたことに気づいたというくだりで、星野道夫さんは何も奥さんにそのことは言っていなかったそうなのですが、実は松家さんは道夫さんからそのことを聞いていた、という話が一つの道夫さんの人柄を現すエピソードとして印象的でした。 その対談でも話題にあった、Coyote コヨーテ 53号の星野道夫特集。ぜひ読んでみてください。 ■在庫あり:本の状態 新品で購入し、一読したのみのものです。表1、表4、天、地、小口、背、中身ともに、目立った傷、タバコの臭い、耳折れ、書き込みなどなく、大変良好な状態です。 ■詳細 出版社: スイッチパブリッシング (2014/9/15) ISBN-10: 4884183959 ISBN-13: 978-4884183950
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TOKYO ISLANDS 島もよう 大島/利島/新島/式根島/神津島 (古本)
¥980
次の土日、どこかに行きたいけど、箱根でも軽井沢でも諏訪でも熱海でもない!そんなときは、東京都の伊豆大島がおすすめです。浜松町から高速フェリーで1時間45分。つまり船旅が楽しめて、海に囲まれた島の雰囲気が味わえるショートトリップ。 雑誌エココロから出た『島もよう』は、このまさか東京都!の島々のうち、5つを丁寧に紹介。船の予約さえしておけば、食べる、泊まるは『島もよう』を参考になんとなかなるはず。手のひらに乗るサイズ感と、ザラッとした紙質が、島の味わいを醸し出しているよう。また、これ片手に全島制覇!とは言わないけれど、島散歩を楽しみたいです。 星野陽介 2016.5 ■状態 可:1度、旅に持っていった程度の使用感です。全体的にきれいな状態といえます。 ■詳細 出版社 エスプレ 発売日 2011/7/15 言語 日本語 梱包サイズ 18.8 x 12.4 x 0.6 cm 発送重量 159 g 本の長さ 172 ISBN-10 4903371824 ISBN-13 978-4903371825
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『飛ぶ教室』第14号―愉快な冒険物語
¥780
執筆中! 荒井良二、石川直樹 ■詳細 出版社: 光村図書出版 発売日: 2008/7/1 サイズ: 24 x 18.2 x 1.2 cm 発送重量: 340 g ISBN-10: 4895284247 ISBN-13: 978-4895284240 ■古書の状態 表4、地に若干の傷、汚れがございます。
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『ポケットに山を』写真:野川かさね
¥500
SOLD OUT
通称“ポケ山”。どこの書店で出会ったか忘れてしまったけれど、その素直なタイトルと、タイトルのようにこの本をポケットに入れて山に行きたくなる装丁に惹かれて、手にとってそのまま会計へと持って行った大好きなリトルプレスです。 山へのあこがれと感謝の思いが、野川さんの素晴らしい写真と、山について書かれた美しい文章によって表現されています。この本に出会うまで山岳文学というものをあまり読んだことがなかったのですが(そういうジャンルがあることも知らなかった)、ここに抜粋された文章たちのきらめきにすっかり心奪われてしまいました。 この本を開くたび、山を歩いている時に感じる、樹木や草花、昆虫への親しい思いや、見渡すかぎり広がる風景に圧倒されるような、吸い込まれるような気持ちを思い出して、山が恋しくなってしまいます。 『フロムリトルプレス』でもご紹介しています。(土澤)
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『Coyote コヨーテ No.37 July 2009』いざ、南極へ -植村直己が向かった旅の先-
¥1,512
SOLD OUT
「植村直己 1972年の幻の「南極偵察日記」 一挙掲載」 雑誌『Switch』の版元である、スイッチ・パブリッシングが発行するもう一つの雑誌が『Coyote』だ。 確か発行人の新井敏紀氏が、星野道夫氏との対話をきっかけに始め、「旅する雑誌」をうたうだけあって、「旅する人」にフォーカスした号が、特にいい。 写真家のロバート・フランク、ロバート・キャパもいいし、冒険家の植村直己特集も私のお気に入りである。 紙面の大きさを活かして、植村直己の手書きのノートや資料、写真がフルカラーで展開されている。 個人的には、これを見たり読んだりすることで、旅に限らず、何か小さなことでも「冒険をしてみよう」という気持ちになる。その多くは、寝て起きると忘れてしまうものなのですが、ひょっとするとこのコエノエの活動も、『ゆがみ』で長野県松本市にある本&珈琲の栞日さんを取材させていただいたのも、その探検心みたいなものの片鱗を、何かかたちにしたいという欲求のあらわれなのかもしれない。 本号の魅力は、他にも、私の大好きな赤井稚佳さんのイラストと佐々木譲さんのテキストによる「旅行記を旅する」という旅行記のブックガイドコラムが始まった点や、植村直己の妻である公子さんへのインタビューや、植村直己より9つ上の冒険家 三浦雄一郎さんへのインタビュー、池澤夏樹氏による写真とテキストの「南極半島周航記」などなど、盛りだくさん。 日ごろ忘れがちで「行きたいところとか、なくなっちゃったな」とか嘯いているけれど、これからもいい旅をしたい。 きっと、私にとってのそれは、観光でも放浪でもなく、誰かの声を聴いたり、その土地の空気をそっと綴じていくことのような気がしている。意味があるかどうかは、分からないけれど。と思った矢先、自分より53も上の三浦氏が「冒険が意味ないという時代も必要だと思いますね」というくだりを見つけて、その真意を知りたくなった。(星野)