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『苔とあるく』田中美穂,WAVE出版(古本)

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岡山県・倉敷市にある有名な古書店「蟲文庫」を運営する田中美穂さんの初著作。「蟲文庫」は雑誌で紹介されているのを読んで、いずれ行きたいと思っていたお店。その店主の人が本を出したというので手にとってみた、という出会いでした。その後お店も訪ねましたが、倉敷の美観地区にありながら、立ち並ぶ他のお店とは雰囲気を異にする、味のある古本屋さんでした。

お気に入りの古書店の紹介も、いずれこのサイトでやってみたいですね。

さて、『苔とあるく』のご紹介。植物の本なので図鑑や育て方ももちろん紹介されていますが、それよりも――たぶんそれこそが苔の魅力だと思うのですが――観察・採集の仕方、標本の作り方などが本書のメイン。学術書というより実用書といった趣で、その楽しさが、「ほったらかしだと、ただのゴミ」、「コケも風に揺れる」など、標語のような言葉とともに語られています。著者はまるで友人か飼っている猫に接するように親しげに苔について語り、苔を見つめ、育てる。その身近な視線がこの本をとても魅力的にしています。

本書に出会うまで、肉眼では姿がわかりづらい苔は私にとって、他の植物に比べると鑑賞の対象になりづらい存在でした。でも、この本に導かれるまま10倍のルーペをゲットして観察してみると、それぞれに全く違った姿をし、色も違い、小さな林や森のようにも見えてきます。また、その小さな植物があらゆる地表を、壁面を覆っていると思うとなんだかけなげでもあります。

一番驚いたのは、苔について書かれた文学作品があるということ。そんなジャンルがあったのか!とびっくりしつつ、その文章の美しいことにも驚かされます。その一部を抜粋してご紹介します。(土澤あゆみ)
※ちなみに写真の苔は、家の庭に生えていたものです。種類は…不明。

●苔について/永瀬清子

まだここには
水と土と霧しかなかった何億年の昔
見渡してもまだ泳ぐものも這う者も
見当たらなかったおどろの時
濠濠の水蒸気がすこし晴れたばかりのしののめ
おまえは陽と湿り気の中からかすかに生まれたのです
なぜと云って
地球がみどりの着物をとても着たがっていたから

いまでも私たちの傍にどこでも見られる苔よ
お前は電柱の根っこにもコンクリの塀にも
いつのまにか青をそっと刷いているのね
まして街路樹の下の小さな敷物
敷石のあいだの細いリボン
わかるよ
地球の望み 地球のほしがるもの

冬になっても枯れもせず
年中お前はしずかに緑でいる
人間はいつもそれをせっせとはがして
道路やビルを造っているのに
でも苔は無言でつつましく
自分のテリトリーを守ろうとする

極致の建築をお前はつくる
描けば一刷毛か、点描でしかないのに
それでもお前大きな千年杉のモデルなのよ
そして繊毛のようなその茎の中に
秘密の静冽な水路があって
雄の胞子はいそぎ泳ぎ昇って
雌の胞子に出会うのです
大ざっぱすぎる人間には
そのかすかな歓びがすこしも聴こえないけれども

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