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『ピクルス街異聞』佐々木マキ,青林堂,1993年

¥4,000 税込

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佐々木マキさんの漫画の作品集をご紹介します。佐々木さんは雑誌『ガロ』でデビューした、絵本作家としてもご活躍の漫画家、イラストレーター。私が佐々木マキさんの絵を知ったのは、村上春樹の初期の小説の表紙から。『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『カンガルー日和』『ダンス・ダンス・ダンス』などなど、毎回、違った風景の中に顔のない人が佇む表紙は、シュールでありつつ、どこかスタイリッシュに感じたものです。

『ピクルス街異聞』にはさまざまな作風の作品がまとめられていますが、通底するのは、シュールさ、不条理さ。登場人物の一人、JJ・ピガール氏はコウモリになってしまうし、ムッシュ・ムニエルは、眼の焦点が合ってないヤギ(後にスピンオフ作品として絵本『ムッシュ・ムニエルをご紹介します』が描かれます)。彼らが闊歩する、国も、時代も、地球なのか異星なのかも曖昧な世界で、ほとんどセリフもないまま進む話は、ちょっとした悪夢のようでもあります。その世界を描き出す佐々木マキさんのタッチが素晴らしく、読み手の想像力をかきたて、あっという間に漫画の世界に引きずり込んでいきます。

佐々木マキさんの著作はたくさんある絵本が手に入れやすいので、興味がある方はぜひ手にとってみてください。(土澤あゆみ)

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